モバイル機器の歴史 - 1970年代以前
電子時代以前
電子以外のモバイル機器というと、腕時計とカメラぐらい?トランジスタラジオの登場 (1950年代)
トランジスタラジオは電子モバイル機器の元祖かもしれない。従来のラジオは真空管を使った重厚長大な据え置き型機器だった。 トランジスタラジオの出現でポータブル化、モバイル化が可能になった。
左:ソニー TR-55 (1955年)
世界のソニーの出発点。
資料:Sony Design History:TR-55
トランジスタから LSI に (1960年代)
こちらは内部的なデバイスの技術革新の話。トランジスタや 磁気メモリ から LSI(集積回路) やDRAMに。
インテル も最初は DRAM メーカーで、最初に作ったCPU も電卓用に作られた。
パーソナル電卓が出現 (1970年代)
1960年代末にパーソナル電卓 というのが出てくる。 電卓は電子卓上計算機の略で 1960年代に登場し、1970年代にパーソナル化、モバイル化した。単純な四則演算ができるだけの計算機も出現当初は重厚な業務用機器で、 給料?ヶ月分の値段もするとても高価な機器だったそうです。 その後、トランジスタ計算機、LSI計算機が出てきて低価格化と小型化が進み、 個人でも買える機器になり、手軽なポータブル機器になった。
ウィキペディアの記事で1970年近辺に「電卓戦争」という言葉が出てくる(書いたのは私ですが・・・)。 2000年代の中国のモバイルプレーヤー戦争や携帯戦争みたいなものか?。
この頃の代表的な機種としてカシオミニがある。
カシオミニは、大卒初任給が 5万円ぐらいの時代に 12,800円という、当時としては激安価格の計算機だったそうです。 今(2010年頃)でいうノートパソコンぐらいの感覚かね?
カシオのページに電卓の価格の資料があったので転載します。
カシオ社史、カシオミニ
カシオ、電卓の歴史
発売年 機種名 価格 使用素子 参考:大卒初任給 1957(昭和32年) 14-A型 485,000円 リレー 13,000円 1965(昭和40年) 001型 380,000円 トランジスタ 20,000円 1968(昭和43年) 152型 250,000円 IC 30,000円 1969(昭和44年) AS-A 110,000円 LSI 35,000円 1971(昭和46年) AS-8 38,700円 LSI 45,000円 1972(昭和47年) カシオミニ 12,800円 LSI 54,000円
電卓の価格が、現在でいう車1台分以上の値段から ノートパソコン並みの値段になる過程・・・。 当時は当時なりに激しく IT革命 が進んでいたようだ。 1970年近辺は激しくインフレの時代です。給料も上がるが物価も上がる。 その中で情報機器は 技術革新 で怒涛の価格低下。 単純な電卓であれば、いまなら 500円ぐらいで売ってるね。
ラジカセが登場 (1970年代)
1960年代末にオーディオの分野でラジカセが登場し、1970年代に本格的に普及しはじめた。そろそろ、ラジカセって何?という話になっているかもしれない・・・ラジオカセットレコーダーの略です。 「カセ」は カセットテープのこと。 いまでいうメモリカード や ICレコーダーみたいなものです。
ラジカセは今の感覚だとモバイルとはかなりかけ離れたイメージだけど、 当時としてはポータブルで電池駆動可能で持ち出し可能な機器だった。 こちらも、その後の歴史で、屋外持ち出し用のワイルドなラジカセから 超巨大化したバブルラジカセ(1990年近辺)まで、いろんな品種が生まれた。
1968年 最初のラジカセ、AIWA TPR-101
左:1972年頃のラジカセの一例(ソニー)
誕生してからあまり時間が経っていない初期の姿。
左:1976年頃のラジカセの一例(アイワ)
ワイルド風味、一味違うお兄ちゃんのアイテムといった感じ。 情報機器は携帯でもパソコンでも、ごく初期の頃は左の絵のような雰囲気を持っています。 無骨な業務用か、お兄ちゃん(もしくわハコモノ好きのおっさん・・・)のおもちゃ。
機器のデザインでこなれた感じか、どの程度普及しているか、 広く使えるものになっているかがある程度分かります。 一味違うアイテムの間は、まだ未完成品・・・。
デンスケ
こちらはマイクのついた生音録音機。ICレコーダーのご先祖さま。
最初の頃は、新聞記者の取材用業務機器ぐらいか?。
単純な電子ゲームがちらほら
電子ゲーム任天堂 DS やソニー PSP のご先祖さまのゲーム機。 ごく初期のものはゲーム機とソフトを分けるという考え方はなくて、 1つのゲームだけが組み込まれた専用機だった。
1970年代 いろいろ
業務用ポケットベル
ポケットベル1968年に 電電公社 (現在のNTT)がサービスを開始した。
通話機能はもたず呼び出しだけを行うサービスで、 通知を受けたら最寄の 公衆電話 から電話をかけて返事をするという仕組みです。 今、聞いたら「何それ?」という話になりそうだな。
アマチュア無線、トランシーバー
アマチュア無線トランシーバー
携帯電話が普及する以前、アマチュア無線やトランシーバーというのがあった。
アマチュア無線は免許が必要で、 トランシーバーは一定の基準を満たす微弱電波であれば免許なしで使用可能です。
現在でも携帯電話が使えない地域やアウトドア用でトランシーバーが使われるようだ。 U.S.アマゾンでもアウトドア用のトランシーバーが出てくる。